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PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、絶縁性、不燃性などの特性により、トランス(変圧器)、コンデンサ(蓄電器)などの電気機器中の絶縁油や各種工業用加熱・冷却用の熱媒体等幅広く使用されてきました。しかし、昭和43年のカネミ油症事件の発生等によりその毒性が社会問題化し、日本では昭和47年以降製造が行われていません。
平成13年7月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が施行され、PCB廃棄物を保管する事業者は一定期間内(平成28年7月15日まで)に適正に処分又は処分を委託することを義務化されました。
現在使用中の電気機器も含め、絶縁油中のPCB含有分析の早期実施をお勧めいたします。 |
使用された機器と用途
用途 |
使用例・使用場所 |
高圧トランス |
変圧器・発電所、工場・ビルの受電設備、鉄道車両等 |
高圧コンデンサ |
送配電線等 |
低圧トランス |
家電製品の部品等 |
低圧コンデンサ |
家電製品の部品等 |
柱上トランス |
配電用 |
環境省ホームページには使用例や対処法などが記載されています。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理に向けて
PCB(polychlorinated biphenyl)とは
ポリ塩化ビフェニル化合物の総称としてPCBと呼ばれています。 その分子に保有する塩素の数や結合位置の違いにより理論的に209種類の異性体が存在し、中でもコプラナーPCB(コプラナーとは、共平面構造の意味)と呼ばれるPCBの毒性は極めて強く、ダイオキシン類として総称されるものの一つとされています。
1989年以前に製造された変圧器(トランス,コンデンサ)などの重電機器中の絶縁油には、微量のPCBが混入している恐れがあり、微量PCBを含む可能性のある変圧器(トランス、コンデンサ)等重電機器を廃棄する場合は、PCB が含まれていないかを確認する必要があります。
分析方法
(1)簡易定量法
○機器分析法
- 高濃度硫酸処理/シリカゲルカラム分画/キャピラリーガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/キャピラリーガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
- 硫酸処理/ジビニルベンゼン-メタクリレートポリマーカラム分画/キャピラリーガスクロマトグラム/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
- ゲルパーミエーションクロマトグラフ/多層シリカゲルカラム/キャピラリーガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
- 溶媒希釈/ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析(GC/HRMS)法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/トリプルステージ型ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS/MS)法
- スルホキシドカートリッジ/ガスクロマトグラフ/負イオン化学イオン化質量分析計(GC/NICI-MS)法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/ガスクロマトグラフ/四重極型質量分析(GC/QMS)法
- PCBの一部の化合物濃度から全PCB濃度を計算する方法
○生化学的分析法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/フロー式イムノセンサー法
(2)迅速測定法
○機器分析法
- SO3添加濃硫酸多層シリカゲル処理/キャピラリガスクロマトグラフ/電子捕獲型検出器(GC/ECD)法
- ヘキサン希釈/ガスクロマトグラフ/負イオン化学イオン化質量分析計(GC-NICI-MS)法
○生化学的分析法
- 高濃度硫酸シリカゲルカラム/フロースルー式免疫測定法(イムノアッセイ)
- 硫酸処理/DMSO抽出/硝酸銀カラム精製/イムノクロマトグラフ測定法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/フロー式イムノセンサー法
- 加熱多層シリカゲルカラム/アルミナカラム/間接競合酵素免疫測定(ELISA)法
(3)精密定量法
○特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法
(平成4年厚生省告示第192号)
主な機器設備
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前処理装置 |
GC/MS/MS分析装置 |
GC/HRMS分析装置 |
関係法令
主な基準値
絶縁油中のPCB濃度が0.5mg/kgを超える場合、PCB廃棄物として扱われます。 (環廃産発040217005)
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