甲殻類


テナガエビは、その名の通り手が長いことが特徴です。ただし、小さな個体やメスは手が大きくないので、一見すると同じように体が透明なスジエビとよく似ています。本種には甲羅の横にローマ字のmに見える模様が確認できますので、それで区別するとよいと思います。
テナガエビは、河川の河口域から下流の淡水域に多く、海と川を行き来しながら生活をしています。夏季に、下流の淡水域で交尾してメスが抱卵を開始します。卵からかえったプランクトン幼生は一度海に流されて海や河口域で過ごします。その後、底生生活にはいってから川を遡上して下流の淡水域で成長します。ただし、海との行き来ができないダム湖内などでは一生淡水域で過ごすものも少数いるようです。

2011年5月10日

 
植物


オオフサモは、南米原産の帰化植物で、アリノトウグサ科の抽水植物(植物体の一部が空気中に出る水草)です。河川や湖沼、用水路などに生育し、本州以西の地域に帰化しており、芦田川では河口湖の岸辺に見られます。本種は外来生物法による特定外来生物に指定されており、大繁茂したときには他の生物への影響が懸念され、また水路での水流の妨げになるとして問題視されています。芦田川ではまだ問題視されるほどの大繁茂は見受けられません(私が見た限り)が、場所によっては冬季でも緑の葉を付けており、条件により爆発的に増殖するものと考えられ、油断は禁物です

2011年2月21日

 
哺乳類


コウベモグラは、主に平地に生息するモグラの仲間です。もぐら叩きゲームなどでおなじみの叩かれてばかりの動物ですが、実物をみたことのある人は少ないと思います。モグラの仲間は、前足が円形で大きく、体が黒褐色の円筒形で尻尾が短いのが特徴です。広島県には、本種以外にも標高の高い地域には小型のアズマモグラやミズラモグラが、標高の低い地域にはヒミズが生息しています。コウベモグラとヒミズは生息域が重なるため混同されることがありますが、前足が小さいこと、尻尾が長く毛が生えていることに注目すれば区別できます。本種の目は光を感知できるぐらいしか見えていないと考えられていますが、かわりに鼻をしきりに動かしてミミズや小さい昆虫などの餌を探します。また、大きな爪のついた前足は地中のトンネルを掘り進むための筋肉がよく発達しており、生態的にも形態的にも個性的で非常に興味を惹かれます。運よく生きた個体に遭遇する機会があればそれらの点に注目して観察してみられると、本種に対する愛着もわいてくるかもしれません。

2010年12月27日

 


アベハゼは、汽水域に生息する大きくて3cm程の小さなハゼの仲間です。ハゼの仲間は、体の形が円筒形や平べったいものが多く、おそらく水底で生活するのに適応しているものと思われます。淡水域では、ドンコやヨシノボリの仲間ぐらいしか見られませんが、汽水域には、本種以外にも多くのハゼ類が生息しています。本種の特徴は、頭部が丸く体の前半部が横縞(背骨に対して垂直な向き)の筋があり、体の後半部が縦縞(背骨に対して平行な向き)の筋があるといった変わった模様をしていることです。ただし、体色が濃くなったり薄くなったりするので見えにくくなる場合もあります。本種は、他の魚がすめないような川岸の水たまりや生活排水のヘドロの中などで見つけられることがよくあります。これは劣悪な環境に耐えうる独特の排泄機能を持つためといわれています。普通、川は汚さないでとよく言われていますが、人間が川を汚すことによってちゃっかり生息域を拡大しているかもしれない生物がいたりするのですね。

2010年11月5日

 



黒くてナイフのような形、この物体、見たことありますか。
貝の一種、トンガリササノハガイといいます。その名のとおり、貝殻がササの葉のように細長くて特徴的な形をしていて、アサリやハマグリなどと同じ二枚貝の仲間です。二枚貝とは、左右二枚の貝殻で体が覆われている貝で、タニシのような形の巻貝とは異なります。
トンガリササノハガイは、底質が砂泥底の池沼や河川下流の流れの緩やかなところ又、用水路などでも見られます。この個体は芦田川の下流域で確認したものです。生息環境は、河川改修や護岸工事の影響を受け、生息個体数が減少してきていますので、みなさんもこの貝を見かけたら、そっと見守ってあげて下さい。

2010年9月10日