アスベスト 昨今、社会問題化しているアスベスト(石綿)は、1970年から1990年にかけて大量に輸入され、その多くが建築物の建材として使用されてきました。建材にアスベストが使用されているかどうかは、その建築物の竣工年によりおおよその見当はつきますが、分析を行うことでより明確になります。当社では、多くの実績と経験に基づいて建材等のアスベスト分析(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)を行っています。

分析内容
(1)分析項目
分析項目 分析方法
吹きつけ材・成型材 建材製品中のアスベスト含有率測定方法(JIS A 1481)
作業環境 作業環境測定ガイドブック(日本作業環境測定協会)
環境大気中の含有量 アスベストモニタリングマニュアル(第3版)(平成19年5月 環境省水・大気環境局大気環境課)

(2)アスベスト調査の流れ
アスベスト調査の流れ(フロー図)

(3)アスベストの種類
 岩石を形成する鉱物のうち、蛇紋石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(クリソタイル)および角閃石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アクチノライトおよびアンソフィライト)をいいます。
 「繊維状の」とは、アスペクト比(長さ/幅)3以上の粒子のことをいいます。
 アスベストの種類と顕微鏡で観察したときの分散色は以下のとおりです。
クリソタイル  浸液 1.55  赤紫(鋭敏色)〜青
アモサイト  浸液 1.68  桃(鋭敏色)
アモサイト  浸液 1.70  青
クロシドライト  浸液 1.68  橙〜赤褐
クロシドライト 浸液 1.69  桃(鋭敏色)
クロシドライト  浸液 1.70  青
トレモライト/アクチノライト  浸液 1.605  ゴールデンイエロー
トレモライト/アクチノライト  浸液 1.620  赤紫(鋭敏色)
トレモライト/アクチノライト  浸液 1.640  青
アンソフィライト  浸液 1.605  ゴールデンイエロー
アンソフィライト  浸液 1.618  赤紫(鋭敏色)
アンソフィライト  浸液 1.640  青
注1)

トレモライトとアクチノライトとは、屈折率ごとの分散色による判別は難しいことから、分析上は同一の種類として扱う。

注2)

分散色の同定には、顕微鏡に附属のアナライザを使用し、アナライザを90°以上回転させて発色の状態を確認する。⇔があるものはアナライザの回転により鋭敏色が著しく変化する様子を示す。


(4)主な機器設備
エックス線回折装置
位相差顕微鏡

関連法令
(1)

石綿障害予防規則の施行について(平成17年基発第0318003号)

 事業者に対して、建築物に吹き付けられた石綿の管理について規定しています。

(2)

大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について(昭和43年法律第97号)

 解体・改造・補修時の大気環境中へのアスベスト飛散防止対策について規定しています。

(3)

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号)

 建設リサイクル法といわれ、解体時等の吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、ビニール床タイル等の特定建設資材に付着したものの適正な分別解体等を規制しています。

(4)

廃棄物処理法における廃石綿等の扱い(昭和45年法律第137号)

 飛散性のアスベスト廃棄物は特別管理産業廃棄物として規制されています。

(5)

建築基準法による石綿規制

 建築物における健康被害を防止するため、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール等飛散のおそれのあるものの使用を規制しています。


主な基準値
建築基準法による石綿規制
 規制対象建築材料として0.1%を超えるものとされています。